ホーム > イベント > ワークショップ知財研究会で「ワークショップの事業化の話」をしました。
ワークショップ知財研究会で「ワークショップの事業化の話」をしました。
2011年1月30日、3331(3331 Arts Chiyoda)にて行われたワークショップ知財研究会で、デジタルはらっぱのメンバー原田さんと朝倉さんが講演を行いました。
会場には、100名のワークショップ関係者や興味がある人々があつまりました。会場はとっても寒かったのですが、コートを着たままみなさん真剣にお話に聞き入っています。ワークショップがという言葉が世間に認知されてきて、これからワークショップを運営するがわがどうやったら収益をえつつ広められるのか。みなさんが悩みつつも前に進んでいることがひしひしと伝わってきます。
「おはなしづくりの活動をひろめるために」朝倉民枝
朝倉さんが丁寧にピッケをつくってきた過程と思いを語りました。ピッケを通して子どもたちに幸せになってほしい、いつもようのように優しい笑顔で話はじめました。風邪をひいていたので、声が少しかすれていましたが、それでも朝倉さんの熱心さは伝わってきます。
こどもたちと新しいメディアの最初の出会いを幸せなものに
一番最初に開発された「ピッケのおうち」は、インターネット上で公開されました。登録すると、ピッケが名前を呼んで話しかけてきたり、かくれんぼをしたり、まるで本当の友だちの様に遊ぶ事ができます。合成音声でピッケをしゃべらせる事もできた所を敢えてフキダシのセリフとしたのは、お母さんが子どもに読み聞かせして親子でパソコンの前に座って遊ぶ仕掛けを残したかったから。そんな朝倉さんのソフトウェア開発には、過剰な演出や刺激で子どもの興味を引くことを避けるといった選択がたくさんされています。
「迷った時は、ひなたの匂いのするほうに進んでいます。」
朝倉さんは綿密に計画して進んでいるわけではなく、やりたいことをやってみてさてどうやって行こうかなぁ。といつも考えるそうです。そのときに大切にしているのはお日さまの匂いです。
「ピッケのお友だちはいないの?」という子どもからのリクエストで開発された「リズムの森」、パソコンの電源を切った後も遊べるように作ったピッケのペーパークラフトやペーパードール、物語をつくる「ピッケのつくるえほん」。ソフトウェアの開発にとどまらず、朝倉さんがワークショップをするのは、つくる喜びを味わうこと、つくる側にもなれるんだということを知ってもらうためだと言います。物語をつくり語る創造・表現活動は、自己肯定感を高め、人を信じることができる基盤(心の安全基地)を子どもの心の中に育てる。それさえあれば後の人生、多少のコトがあっても大丈夫と考えて、ピッケをつくっているそうです。
事業化について
朝倉さんは、価値を継続的に還元することが大切だと思い、継続的に活動を続けるために活動の事業化をしました。いち早く取り組んだfacebookアプリの開発と課金コンテンツの配布、受賞での社会的信用の獲得、法人化、商標登録など。絵本のオンデマンド印刷への展開も用意ができているそうです。会場では、この部分に共感したtweetも多く流れていました。一方、ワークショップで採算を取る事は現状難しいというリアルなお話も。継続的に活動するためにも、まずは学校への導入を柱としていきたいという所でしめられました。
10年前は、デジタルで教育をというとそれは難しいのではないかと言われ続けてきたそうですが、「こどもたちと新しいメディアの最初の出会いを幸せにしたい」という朝倉さんの思いはずっと変わりません。
「デジタルワークショップの可能性と課題(と事業化)」原田康徳
子どもの頃の話から自分でつくることが大好きだった原田さん。ビニール人形が買ってもらえなかった代わりに、粘土で自分で考えた怪獣やヒーローをたくさん作っていたそうです。そんな原田さんが子どもの頃に初めて触った感想から話は始まりました。
コンピューターは粘土である
原田少年にとって、コンピューターは数字を変えるだけで何でも作れる正に粘土の様な存在だったそうです。ところが、大人になって世の中に広まったコンピューターは全然違うものだった。「いまのみんなが持っている粘土の要素が少ない。僕は粘土の感覚をみんなに知ってほしくてビスケットを作っているんだよ。コンピューターが大好きな人より、TVやコンピューターにアレルギーのある人にほど僕は話しをしてみたいとおもっている。だってそういう人と話すことが、研究者として何よりも大切でしょ。」原田さんは理系パパらしくワークショップの定義からはじまり、ワークショップの未来まで熱心に語りました。
理系原田の語るワークショップの定義
原田さんは、ワークショップを一斉授業の反対と定義します。一斉授業は効率的で評価がしやすい。ゴールを1つに定める事で均質な内容をたくさんの人に教えられます。ところが、社会が複雑に変化するにつれて、徐々に今までのやり方では通用しなくなってきた。ワークショップではゴールは人それぞれ違っていいので、成長の度合いや目的の違いに対応できるため、一斉授業でできないことができる良い性質があると言います。ビスケットでは、一斉授業の方法で使い方を理解し、ワークショップの手法で作品を自由に作るという2つのフェーズで構成されています。
なぜデジタルでワークショップなのか
創造力を育てるという言葉にピンとこなかった原田さん。最近、「直接表現」と「間接表現」という言葉でこの事を整理したと言います。直接表現とは、編集対象と完成作品が同じもの。例えば絵を描くとか、粘土で作るなど、作り直した結果がその場で見られフィードバックを得ながら作るのが直接表現。
一方、間接表現とは、編集対象と完成作品が違うもの。作る前に出来あがりを想像しながら設計する、例えば建築の設計や料理のレシピ、オーケストラの楽譜などで、プログラミングも間接表現の方に入る。学校では直接表現ばかりが行われているけれど、設計図を書かせて考えてから作る間接表現の力を身につける事も大切だと考えています。ところが、間接表現はある程度のスキルを習得しなければできないなど授業の中で学ぶには様々な意味でハードルが高い。デジタルツールはこの点で有効で、間接表現でありながら編集した結果が出るのが早いため編集対象と完成作品の差を埋めるのに有効だと考えているそうです。
事業化について
ビスケットを世界中に普及させる事が目標である原田さん。広めるためには、事業化の際コンテンツの作成者より先ずワークショップの実践者をどう食べさせるかを考えていると言います。ワークショップのコストとしてかかる人件費、会場費、宣伝費などの問題を解決するために、プログラムをたくさん用意して継続して通ってもらえるようにする、コンテンツの劣化を防ぐためにコンテンツ作成者が本人出演したビデオを提供するなど教室系のビジネスのやり方が参考になると考えているそうです。違いは、やり方がワークショップであるという点。教えてくれるのは、本人出演のビデオなので、実践者は専門的な知識よりも参加者と同じ目線でものが言える力や参加者同士のコミュニケーションを引き出せる力があるなどワークショップの基礎が出来ている人が望ましいと考えていて、これをインターネット上で展開する予定とのことでした。
会場からの質問「どんな子どもたちになってほしいと思ってワークショップをしているのですか?」 「ぼくは工夫ができる子になってほしいと思っています。想像力の豊かな子とか言うと少し難しいでしょ。でも工夫することで人生は豊かになることをみんながしっている。だから僕は工夫できることをを大切にしています」
当日はtwitterでの中継も行われました。
- 検索
- フィード
- メタ情報


